2012年11月29日木曜日

太陽光発電と一条工務店の戦略

今日はちょっと、時事ネタというか何というか。
太陽光発電について。
(リンクはイメージです(笑))
太陽光発電設備の自宅への設置について
実は、我が家の屋根にも太陽光発電パネルが乗っている。
そう、太陽光発電については、その当時随分勉強したもので、まだ、民主党政権が樹立する前で、今のような補助金体系でもなかった。
その当時、自分なりにシミュレーションをして、算出した結果が、イニシャルコストがペイする条件は、安定的に発電できて15年という結論であった。
イニシャルコストとランニングコスト
当たり前の話だが、太陽光発電設備を自宅に備えるためには、設置費用と、運用費用を考えなければならない。
僕はその当時、以下のように想定していた。
設置費用
250万円(4.1kw)
運用費用
0円
設置費用は、自宅を建てる際に一緒に施工するという方式を採ったため、じつはコストは安く上がっている。家を建てた後に別途屋根に乗せる工事をした場合、300万円程度はかかったのではないかと、予想している。
運用費用は、ほぼメンテナンスフリーと考えていたので、当然0円と見積もっていた。

ちなみに、現在はどうか?というと、太陽光パネルの発電効率は上がっているので、同じ面積で設置した場合の発電量は多くなるが(同面積で5kw程度配置できる計算である)、設置費用自体はそれ程安くなっていない模様。やはりトータルで300万弱くらいはかかるようだ。
業者によっては250万程度の価格を提示しているところもあるが、何れにしても若干安くなった程度という認識でいいと思う。
発電電力量
設置地域や設置条件など、諸々の条件が影響してくるので、発電可能電力量に関してはハッキリとしたことは言えない。
ただ、シャープの発電量シミュレーションなどを利用して計算した結果、5,000kWhくらいは期待できそうだ、という事が分かっていた。
 ◎ 5,000kwh×40円=200,000円
年間20万円で、設置費用が250万円ならば13年くらいで償却可能だ!と、その当時は考えた訳である。
現実の発電量は
一昨年の発電実績は5,417kWh、去年の発電実績は5,672kWhだ。
一応、期待値以上の発電実績はあることになる。
ただし、売電できたのは現状では夏期に15,000円、冬季に10,000円分くらいだった(電気料金請求書より)。平均すると13,000円/月という売電が成り立っている計算になる。
使用電気量との兼ね合いもあるので、発電できた分を全て売った、という計算にはならない模様。
これだと、年間156,000円の収入があり、減価償却できるのは16年かかる計算となる。

太陽光発電設備は故障する
さらに、現実問題として、太陽光発電設備の故障も考慮に入れる必要がある。
発電するパネルの故障率はとある計算によると3割を超え、パワーコンディショナーという売電するのに必要な機械の方は、それ程は確率が高くないにしても故障が発生している。
10年以内に何らかの故障が発生する確率が3割だとすると、10年保障が付いていても正直安心はできない。
幸いにして、メーカーに問い合わせた際に、無償交換時の作業代もメーカー持ち、という事らしいのだけれど、保証期間を超えると問答無用で修理費や交換費が発生する。

少なくとも発電効率が下がっているか否か、と言う点はマメにチェックしておきたい。
一条工務店の夢発電システム
そんな状況だということを踏まえて、一条工務店の発電システムをご紹介。
初期費用0円
なんと、太陽光発電パネルの設置費用を一条工務店が立替える、というシステムなのである。
だから、設置する際に「太陽光発電パネル設置すること」を選択するだけで、コストをかけずに設置が可能である。
発電払い
じゃあ、一条工務店が全部負担してくれるの?思いきや、そうではない。その後、発電した電気を売った金額で、分割払いをする、というのがこのシステムのキモのようだ。
真面目にこのシステムを検討してみる
ユーザーにとってのメリット
このシステムで恩恵を受けるのは、住宅を一条工務店で建てるユーザーなのだが、どんなメリットがあるだろうか?
  • 建物を建てる際の初期費用が、太陽光発電パネル分だけ安く済む
  • 大容量の発電設備を屋根に備えられる
僕が家を建てた時点では、4.2kwというのが設置可能なパネルの最大発電量だった。今はもっと効率が上がっているので、同じ面積にせちするにしても5kwとかも実現可能だ。
だが、当時、一条工務店にこのシステムがあったとしたならば、家の屋根の形を妥協して6.2kw位までは屋根に乗せることが出来ただろう(その試算もしてもらった)。
実際には、初期費用を抑えるため、と、家の意匠性を考えて4.2kwに落ち着いた。が、デザインの制約を受けてももっと大容量のパネルを乗せるという選択肢は確かにあった。

コスト面を考えれば、一条工務店のシステムならばそれは可能だっただろう。
一条工務店のメリット
一条工務店が使う太陽光発電パネルはアルバックというメーカーの製品。どうやら一条工務店が提携して専用品を作らせているらしい。よって、他メーカーの太陽光発電設備が乗せられないことに注意されたい。
で、そういう状況であるので、以下のようなメーカーメリットが出てくると思われる。
  • 一条工務店で建てたいというユーザーの開拓が可能
  • 大量発注してパネルを安く作り、そこそこの値段で顧客に販売する。
  • 立て替え費用は発生するが後で資金回収が可能
2011年現在の一条工務店の年間棟数は8,400棟。夢発電の効果で10,000棟位に増え、その3割くらいの家にソーラー発電パネルを乗せることが実現できると仮定すると、年間3,000棟にソーラー発電パネルを搭載できる計算になる。
太陽光発電設備の価格が300万円平均と仮定すると、太陽光だけで900億円くらい売り上げが増える計算に。わお、ウハウハですな。
理解不能な点
ただ、サイトで紹介している例がいただけない。
月々31,259円のお支払い、という計算になっているが、我が家のケースを考えても、そんなことは到底成り立たないんだが……。
と、思ってよくよくサイトを見ると、9.90kWの発電パネルを搭載した場合という事が謳ってある。
うは、まじか?
全国平均で太陽光発電パネルの容量は4kw程度。僕の試算でも、発電効率を考慮して屋根に乗せられるのは片流れの屋根にしても7kw辺りが限界のように思えるわけだが……。

太陽光発電パネルを乗せられる屋根には全て乗せるスタンス
サイトの別の部分も読むと、ソーラーカーポートとか書いてある部分が。え、カーポートの屋根にも乗せちゃうの?
恐ろしい話である。

つまり、乗せられるだけ乗せて10kwという試算みたいだ。なお、夢発電システムの平均搭載量は約7kwだそうで。
試算にも随分夢が詰まって居るみたいだな。

実発電量との乖離
我が家の場合で計算し直すと……、4.2kwだから、ああ、1万3千円程度に収まるね。なるほど、想定している搭載量自体が問題なだけで、実際の発電値の方は誤魔化しはないようだ。
ただ、じゃあ、月々の支払いは1万3000円で良いのか?ということは、このサイトを読んだだけではよく分からない。
が、結局償却が13年とかになるとすると、その後、発電した分は自分の懐に入るシステム、と言われても有り難みは薄い。

何故ならば、発電量は年間で変動するので、夏期は嬉しいが冬季はかなり厳しい状況になる。
我が家の例で行くと、夏期は15,000円-13,000円で2,000円のプラスだが、冬季は10,000円-13,000円で3,000円の赤字なのである。
年間でならせばトータルプラマイゼロという話のようにも思えるが……、我が家の場合は冬季の電力使用量が多いので、冬季はかなり厳しい情勢になる。
住宅ローンが増額しただけと割り切れば良い
もちろん、このような事情は関係なく、単純に住宅ローンが増えただけ、と割り切って考えれば良い。
太陽光発電設備を乗せても乗せなくても、電気料金は発生する。だから、電気料金変動は、乗せなかった場合にだって起こるわけだ。
が……、だったら大容量のパネル乗せる必要は無いんじゃないか?だって、イニシャルコスト下がった方が、月払い料金も減るんだから。あれ?乗せなくてもよくね?
太陽光発電設備は趣味の範囲で
基本に立ち返って、太陽光発電パネルを乗せるメリットを考えてみる。
買取価格が42円であること
某禿の策略によってか、現在の買取価格は42円程度。この金額は地域によって差があると聞いたことがあるのだが、概ね40円程度では買い取ってくれるシステムだ。
だが、これ、家を建てたときに電力会社と契約した契約書に出てきていたのだが、10年限定である
10年契約でその後は再契約なのだが、その時点で同じ金額で再契約が出来るか?というと実はかなり厳しい。
今度、自民党政権が樹立した暁には、この買取価格はドイツの実情なども踏まえて見直されるのが必至である。
現状のドイツは1kw辺り15円前後らしいので、日本がいつ頃この価格に追いつくのかは知らないが、10年後にはかなりやばい状況になっているのは確実だ。
太陽光発電設備が増えると、買取価格は低下する
供給が増え、需要が増えなければ当然価格は下がる。
現在の42円という数字、実は原子力発電ありきのお値段である。だが、原子力発電は一向に再稼働しないばかりか、国内の電力事情は火力発電一辺倒。
電力コストはこれから徐々に上がっていくだろうが、火力発電はそのコストに占める燃料費の割合が高く、日本は原発を使わず火力に依存することで毎年3兆円程海外にお金を支払っている計算になっている。
何が言いたいかというと、電力会社の方が早晩現状の買取価格にギブアップ宣言を出しかねない状況だと言うことである。

そうした状況を鑑みると、10年後に買取価格が下がる理由はあっても挙がる理由は何もない。
今の半額程度になっている可能性は高いのだ。
太陽光発電設備を設置するメリット
単純に、太陽光発電設備を自宅に付けるメリットは、売電出来ること、それだけである。
期待した金額で売れなくなれば、初期モデルは崩壊。今、一条工務店と契約して家を建ててしまえば、10年間は買取価格42円の設定になるが、今後はどうなるか分からない。
つまり、減価償却モデルは10年以内の償却に設定しなければならない話になり、その為には僕の試算で行くと最低6kwだ。
だから、夢発電システムの7kw平均というのはあながち間違いではない。
ただ……、家の意匠性はかなり制約されてしまうし、太陽光発電設備がどちら向きに配置できるか?屋根に日陰は出来ないか?で大きく制約を受ける。
周囲の環境によって売電に影響が出る
更に、かなり厳しい話なのだが、僕の知人の家が周囲の環境に左右されて売電が制限されている状態になっている。
彼の家の近くに工場があるのだが、昼休みに工場は休止する。すると、一気に電圧が飽和してしまって、昼休みの間じゅう、電力を売ることが出来なくなってしまう。休みの日はどうか?と聞いたら向上が休んでいても売電に影響はないようだ。電力会社がコントロールしているのだろうか??

彼の質問に電気会社は言葉を濁していたようだが、電気は高いところから低いところにしか流れず、飽和状態になると家から外に電力を売れない。売電はメーターによって管理されているので、外部の方が電圧が高くなると、どうしようもないのだ。
ちなみに、その家は6.5kwの太陽光発電パネルを乗せているが、売電価格は我が家と殆ど変わらない。つまり2~3割のロスが出ている計算になる。

このケースはかなり特殊ではある。しかし、周囲の家が多く太陽光発電パネルを搭載するような事態になると、似たような話が出てくる。つまり、一気に周囲の電線内の電圧が高くなって、売電がままならない状況に。
売電することで、返済モデルが成り立っているにもかかわらず、電力が売れない事態になると、即座にモデル崩壊である。
住宅用のバッテリーが安く市販されるようになれば、これも解消される可能性がある。が、バッテリーも買わなければならない事態となると、イニシャルコストは上がるわけで。

結局、趣味の範疇で
ちなみに、4人家族で年間に消費する電力は、ライフスタイルにも寄るが4,000kw程度である。だから、6kwも屋根に乗せることが出来れば、電力は自分の所の発電量で賄える計算にはなる。
ただ、夜は発電しないし、曇りの日、雨の日なんかもほぼ発電しない(6kwはそれを考慮した上で賄える数字だが)。
だから、電力会社と切り離すという事にはならず、常に売電や買電をするという状況にはなるだろう。
そして、売電価格が下がれば、自分の所で発電した電気を自分で使った方がメリットがある、ってことになってしまう。
そうやって考えると、趣味で乗せましたと割り切れない限りは、太陽光発電設備に手を出さない方が良いだろう。
いや、無論、リスクを分かった上で、今、太陽光発電パネルを乗せるぜ!という人は、その方が賢いのかも知れない。
一条工務店のモデルは鵜呑みにしない
結局、夢発電システムの紹介事例が極端だ、というだけで、太陽光発電に興味のある方には選択肢の1つと考えて差し支えないと思う。
ただし、色々なリスクがあるので趣味の範疇で乗せるべきだし、支払いは10年以内で成り立つように設計しないと、破綻する。サイトの別のページに支払い終了以降は自分の利益に!と、派手に宣伝されていたが、これは完全に嘘だ。あくまで売電42円が成り立っている状況で、の試算であったので、そこは注意して読まなくてはいけないだろう。
そして、売電がスムーズに行くかどうかは、周囲の状況次第、ということも忘れてはならない。

太陽光発電に関しては、かなり興味があるので、また記事にするかも知れないけど、雑学程度に。
 

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